REPORT

活動報告

古紙を価値あるものに変え、地域社会へ循環させていく・北九州の老舗百貨店・井筒屋の取り組み

現在「KAMIKURU(カミクル)」プロジェクトでは北九州市で使用済み用紙の回収、アップサイクル品の制作・供給に取り組んでいます。今回は、SDGsの一環として「KAMIKURU」プロジェクトに参画している株式会社井筒屋での活動の様子を取材しました。お話をお伺いしたのは、「KAMIKURU」プロジェクトに大変熱意を持って取り組んでおり、率先して先導役を努めてくださっている総務部の中尾 裕さんです。

「KAMIKURU」プロジェクトに参画したきっかけと取り組みに対する思い

井筒屋が「KAMIKURU」プロジェクトへ参画したきっかけは、2021年1月に北九州市SDGs推進室の方からお話をいただいたことです。北九州市の企業や学校から古紙を回収してアップサイクル品を作り、それをまた社会へ循環していくという取り組みが、まさに今、井筒屋が進めている環境問題への取り組みと非常にリンクしていたので、ぜひにと参画させていただくことになりました。井筒屋でも2010年7月からプラスチック容器包装であるレジ袋を有料化させていただくことによって、地球温暖化対策であるCO2削減に取り組んでいるところです。館内の様々な部署で出る古紙を回収し、それらを利用して何か社会の役に立つことができる「KAMIKURU」プロジェクトは、私たちにとって大変魅力的な取り組みです。そのためには具体的にどういった活動で参画したらよいかについて社内で意見を出し合い、最終的な合意形成も取れたので、5月から本格的に活動をスタートしました。

最初に取り組んだのは、アップサイクル品を制作するための古紙を収集する専用ボックスを作ることでした。今までは全館約30ヵ所に設置された「古紙回収ボックス」に古紙を入れ、ある程度集まったらまとめて古紙回収業者へお渡ししていたのですが、その「古紙回収ボックス」の他に「アップサイクル用ボックス」を設けたんですね。アップサイクル用ボックスに入れる紙は、ステープラーやパンチの穴のないもの、紙の端が折れていないものなど製紙しやすい状態の紙に限られます。この作業は、実は社員にとっては手間がかかるものなんですね。面倒くさいなあと感じている社員もいるのではないかと思います。でも一人ひとりが協力してこの作業に取り組むことがどういう結果に繋がるのかを考えるいい機会になると私は信じています。

そうして集められたアップサイクル用の古紙は、私が毎月15日前後に全館を回ってすべて回収します。

回収にはだいたい1~2日かかりますが、いろいろなフロアや部署のスタッフとのコミュニケーションが図れるのも大きなメリットです。「どんな紙を出せばいいの?」とか「この紙がどんなふうに再生されるの?」など聞かれることもあります。定期的に紙の回収を行うことで、プロジェクトや環境問題に対して、社内の意識が少しずつ高まってきているのを実感します。

いろいろなものが循環して回っていく持続可能な社会を目指して

IZUTSUYA 井筒屋は社内古紙を分別・回収し、紙袋にアップサイクルしています。紙の循環から始める地域共創プロジェクトへの参加を通じて、観光保全や社会貢献に取り組んでいます。

そうやって社員一人ひとりの協力のもと集められたアップサイクル用の古紙は、北九州市で障がい福祉サービス事業所を運営するNPO法人「わくわーく」さんにお渡しし、新たに再生紙として生まれ変わります。そしてその再生紙を使い「わくわーく」のスタッフたちに一つひとつ手作業で作っていただいたのが、これらの手提げ袋や小袋です。お客様に使っていただくものなので、色やデザイン、紙質についても、メンバーはじめ多くの社員の意見を聞きながら仕上げました。この手提げ袋は、商品をお買い上げいただいたお客様に本館6階の「きたきゅうコロンブス」にてご提供いたします。また、有料にはなりますが、繰り返しお使いいただける手提げ袋も作りました。

このように社内で不要になった古紙を価値あるものに変え、それがまた社会を循環していくという新しいリサイクルの概念が、私たち井筒屋が推進していく「KAMIKURU」プロジェクトです。この手提げ袋を通じて多くの市民の方々に知ってもらいたいと思います。古紙のアップサイクルは、森を守り自然を守り地球を守るという意識の共有に繋がります。「使って終わり」という一方通行ではなく、いろいろなモノが循環して回っていく持続可能な社会をみんなで目指していきたいですね。私たちがモノを計画的に使い循環させていくという活動を続けていくことで、北九州市全体にこの取り組みが広がっていってほしいと思います。

地域密着・地域連携を目的として2019年3月に誕生した「きたきゅうコロンブス」。ものづくりに携わる方の熱い思いが詰まった商品が揃い、地域の方々が“地元の魅力を発見する”“地元を愛する思いを実現する”場として、多くの人々に利用されている。取り扱う商品は地産地消にこだわった食材やスイーツ、アクセサリー、インテリア、民芸品、雑貨など多岐にわたり、地元アーティストの特集やイベントも随時開催している。

「KAMIKURU」プロジェクトを通して変わってほしいこと、伝えたいこと。

地球温暖化や海外での山火事報道、北極の氷が溶けたニュースなど、世界各地で環境問題が報道されていますが、まずは自分の足元にあるものを見つめて、そこでどうやって環境に良い活動をしていくかを考えることが大切だと思います。そうやって考える中で、いろいろな人との関わりができ、その関わりの中からみんなで知恵を出し合っていく、そういう取り組みを考えていきたいですね。今回のプロジェクトにしてもそうですが、社内スタッフ一人ひとりの協力が手提げ袋という形になり、それをお客様にご提供します。手提げ袋には、アップサイクルに取り組むプロジェクトの活動内容についての記載があるので、それを読んだお客様にも環境問題への意識が伝わります。そうやって少しずつでも環境に対する考えが広がっていけばいいなと思っております。今回の「KAMIKURU」プロジェクトは、私たちとお客様が一緒になって、同じ目線で同じ考え方で環境問題に取り組んでいけるようになる良い機会になるのではないでしょうか。

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「KAMIKURU」事務局
(紙の循環から始める地域共創プロジェクト事務局)

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電話:03-5919-5211(代表)